stack overflow からの小ネタメモ
stack overflow で得たちょっとした小ネタをメモがてら羅列してみる。
質問は、ざっくり書くと、ラムダを関数ポインタに変換する明示的な記述なしでそのような事ができる方法はあるか?であるが、これに対して operator+ を適用すると、変換されると回答されている。これは何が起きているかと言うと回答にもある通り、built-in の unary operator + がラムダの持つ関数ポインタへの変換関数を呼び出すトリガーとなり、その結果関数へ渡せているのである。built-in の unary operator + については、[over.built]の通りである。以下はこの擬似コードである。
template<class T> T call(T(*func)()){func();} void(*built_in_plus(void(*f)()))() {return f;} int main() { call( built_in_plus([]{}) ); }
built-in unary operator+ のこういう使い方は思いつかなかった。ただ個人的には、関数ポインタに変換している旨をキャストによって明示した方が良いとは思う。
initializer_list を使って range-based forを使う事で、より簡潔に記述できるが、意図した通りに動かないのでどうすれば良いかという質問であるが、これは勿論、 initializer_list に渡しているのがその対象のコピーであるため、まず意図したようには動かない。ここでは二つの回答があり、それぞれアドレスを渡すものと、reference_wrapper
を渡すものである。
個人的にはreference_wrapper
を渡す方が好みだが、std::ref
を全てに書くのも微妙なので、Boost.Fusion が使えれば使いたい…
template<class... Ts> constexpr boost::fusion::vector<Ts&...> refs(Ts&... ts) { return boost::fusion::vector<Ts&...>{ts...}; } boost::fusion::for_each(refs(foo,bar,baz),[](std::list<int>& x){x.push_back(42);});
stackoverflow.com 2つの質問が挙げられている。1つは、[class.member.lookup] に反したclang++とclが間違っているという内容。これはまぁ良い(良くはないのだが)。2つ目は、質問文中にあるように2つのクロージャ型を継承し、クロージャの持つ関数を Using-declaration を行ったものと、一切行わなかったもので、それぞれ全てのコンパイラが通す、GCCだけ通さないという結果になった。さらに面白い事に、Using-declaration を片方だけにしたら、今度はclang++とGCCだけが通した。これは一体何が正しいのだろうかという内容。結論から言えば、GCCの挙動が正しい。質問文中の最後に焦点を当てる。以下のような場合を考える。
#include <cstdio> auto print_int = [](int x) { std::printf("int %d\n", x); }; typedef decltype(print_int) foo_int; auto print_str = [](const char* x) { std::printf("str %s\n", x); }; typedef decltype(print_str) foo_str; struct foo : foo_int, foo_str { using foo_int::operator(); //using foo_str::operator(); foo(): foo_int(print_int), foo_str(print_str) {} }; int main() { foo f; f(123); f("foo"); }
まずf(123)
によって Using-declaration で導出された operator()(int) による呼び出しが行われる。これは普通の動作だ。次に、f("foo")
によって、これまた operator() から呼び出そうと試みるが、その引数型はconst char*
なので、どれも該当しない。しかし、これは、[over.call.object] に該当する。foo はクロージャ型が持つ、関数ポインタへの implicit conversion function を継承しており、かつその implicit conversion function の operator() は 当然ながらその関数ポインタと互換性のあるシグネチャとなるので、fooを関数へのポインタに変換し、これを呼び出す事ができるのだ。そして勿論の事、非 captureless nongeneric lambda は、function pointer への implicit conversion function を持たないため、コンパイルエラーとなるのである。
うむ期待通り. https://t.co/9AvrJZhFNw
— roκi (@530506) 2017年6月13日
これは、[over.call.object] のExampleが意味を明快に示している(簡単のため筆者によって若干改変されている)。
int f1(int){return 42;} float f2(float){return 4.2f;} typedef int (*fp1)(int); typedef float (*fp2)(float); struct A { operator fp1() { return f1; } operator fp2() { return f2; } } a; #include<iostream> int main() { int i = a(1); // calls f1 via pointer returned from conversion function std::cout << i << std::endl; // 42 float f = a(4.2f); // calls f2 via pointer returned from conversion function std::cout << f << std::endl; // 4.2f }
もうちょっと何個か良いネタがあれば羅列したいところだったが、現時点では特別見つからないので、良いネタを見つけ次第追記するかもしれない。